免震建物は現在最も優れた耐震建築物ですが、その安全性が免震装置の機能的特性に強く依存することから、それらの装置の継続的な維持管理と点検を行い、所定の免震機能を維持させる必要があります。
1.建築基準法[要旨抜粋]
維持保全 | 第8条
建築物の所有者等は、常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
報告、検査等 | 第12条
建築物の所有者等は、国土交通大臣等が定める資格を有する者に調査させて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
2.維持管理点検の概要
点検の種類 | 点検の時期 | 点検の目的 |
竣工時検査 | 竣工時 | 正しく施工されているか確認し、それ以降の各種点検に必要な項目の初期値及び判定基準値とする。 |
定期点検 | 1年に1回程度 | 異常の早期発見と事故の防止を図るために、製品やその使用状況を目視で確認する。 |
竣工後5年、10年、以降10年毎に実施 | 維持管理基準に定める要領で計測も実施しながら異常がないか調査する。 | |
応急(詳細)点検 | 大地震や台風・火災・洪水などの災害発生直後 | 大地震・台風や火災・洪水などの災害を受けた直後速やかに製品への影響の有無を確認する。 |
3.点検対象項目
免震の点検は、以下の項目を主として点検します。
免震装置等
- ゴムに劣化や変性はないか
- ゴムに損傷、クラック等の変状はないか
- ボルトに緩みはないか
- 鋼材部に錆や塗膜剥がれはないか
- 鉛直変位に大きな変化はないか
- 水平変位に大きな変化はないか
- すべり面に有害な傷や突起はないか
免震層内及び建物外周部
- 免震装置に近接して配管されていないか
- 敷地境界との間隔は確保されているか
- 建物の間隔(水平変位)は確保されているか
- 建物の間隔(鉛直変位)は確保されているか
免震層内の設備配管可撓部・電気配線余長部
- 下げ振りに変化はないか
- ケガキの軌跡状況はどうか
- 免震層に結露等の異常はないか
- 問題となる追加工事はないか
- 稼働範囲の安全は確保されているか
- 設備配管に異常はないか
- 架台・ラックの間隔は確保されているか
- 配管経路の間隔は確保されているか
- 電気配線に異常はないか
- 躯体と架台の間隔は確保されているか
4.点検の報告
点検の結果は、報告書としてお客様に提出いたします。